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福井の方も知らない、なっと味噌と、はまな味噌の違い
福井県嶺北地方北部(主に旧三国・旧芦原・旧金津・旧坂井町)の家庭では、冬になると『なっとみそ』を作ります。『なっとみそってあまり聞きなれない言葉ですが、醤油の原料の豆麹(豆と小麦のこうじ)にナスの塩漬けやチソなどをませ合わせ、米糀で作った甘酒や醤油で味付けをした「おかず味噌」のことなんです。
それじゃ「はまなみそ」…。
でも本当は「なっとみそ」と「はまなみそ」とはちょっと違います。「はまなみそ」は名古屋地方でよく使われる八丁味噌にナスなどを合わせたような「おかず味噌」。いわば練り味噌仕立てです。名前の起源も 浜名湖地方に伝わる塩辛い「浜名納豆」から来ているとの説もあります。でも、メーカーの宣伝などで、「なっとみそ」も「はまなみそ」もナスの入ったおかず味噌をすべて「はまなみそ」とか それに類する呼び名になってしまっているようです。余談ですが、なっと(納豆)とは大豆の発酵させたものの総称で、浜名納豆などの塩辛納豆と水戸納豆などの糸引き納豆があります。
かって味噌や醤油は各家庭で作ったものでした。『なっとみそ』は醤油諸味にナスなどを漬けたのがルーツといわれています。そのうち旨みを付けるため 米糀の甘酒などを加えていったものではないかと思われます。ですから「はまなみそ」とは発祥も味も全く異なります。
一般的な作り方は、塩漬けしたナスを塩出しして一口大に切り 豆麹、甘酒、干したチソ、醤油、塩などをあわせ1~2週間寝させます。毎日混ぜて味を馴染ませ 塩加減を整えて、豆麹の豆が軟らかくなってくればでき上がり。それぞれの家庭で、ナスの漬け方や入れる量 塩加減などその家独自の味があり本当の意味での素朴な「家庭の味」「お袋の味」です。
今では作る家庭も少なくなってきたようですが、暖かいご飯にのせて食べる『なっとみそ』は 寒い冬には欠くことのできない「ふるさとの味」です。